当サイト「エオスト -Story of Eorzea-」では、Final Fantasy XIV(FF14)のクエストストーリーをまとめています……が、本記事に限り、必ずしもFF14中のシナリオ・演出を再現するような記事にはなっていません。筆が乗り、私が調子に乗ったからです。だいたい1.7次創作くらいのノリで書いています。
ほかのページは真面目にストーリーをまとめていますので、よろしければ是非。
ストーリーのあらすじ
開幕
拙者、姓をHawk、名をLazy……人呼んで怠惰な鷹と申す。生まれは海の向こうでござるが、故あってシロガネに居を構え、早数年が経過しておる。
戦場では「光の戦士」「英雄」として名を馳せたものでござるが……血の嵐吹き荒れたギラバニアでの戦いも終わり、今は拙者の名が示すとおり、怠惰な日々を送っているのでござる。
とはいえ、銭がなければ生活も出来ぬ。冒険者稼業は一攫千金の夢あれど、商売に疎い拙者はなかなか銭を得ることも出来ず、日々の生活も少々困窮する有様でござった。それなのに、戦の報酬に加えて借金までして家など買ってしまったものだから、これを返すためにも働かねばならぬ……と、怠惰7に対して3くらいの割合で、拙者の腕を買ってくれるところを常日頃から探しているのでござる。
そんなある日のことでござった――。
序章
「困った……ああ困った……」
借金返済の為に東アルデナード商会に赴いたところ、なにやら困りはてたあまり口からも困った困ったと漏らす御仁が立っておった。一体どうしたのかと話しかけたところ、どうやら先方も拙者のことを探していた様子。
ふむ、お互い「渡りに船」とはこのこと。拙者の腕を振るう機会でござろうか!
その男、東アルデナード商会の手代(下級役人)によれば……なんとここクガネを治める「クガネ城」が占拠されたというではござらぬか! なんと一大事!
聞けば、下手人は他国との交流を快く思わない保守系の過激派集団。
クガネ城にて、客人を招き催されていた舞台に乗じ、人質をとって立てこもっているというのでござる。
まだ表沙汰にはなっていないとはいえ、そういえば街中でクガネ城に関する不審な噂話をしている民もいたような気がするでござるな……。
しかし……何故クガネの危機に、外様である東アルデナード商会が噛んでいるのでござるか?
「というのも、その人質というのがクガネ奉行とウルダハ要人のご親族なのですよ……」
なるほど、一筋縄ではいかない事情があるのでござるな。
そもそもここクガネは、あくまでもひんがしの国の一都市に過ぎぬ。他国との交易の一切を断絶しているひんがしの国にあって、唯一クガネだけは外との商いを許されているのでござる。故にクガネ奉行が人質に取られ、奉行所の責を担う者が不在となっている今、決定権は紅洲(コウシュウ)の都、「ブキョウ」の要人が持つのでござるが……この者が如何にも頭が固い。事件が表沙汰になることを嫌い、大々的な赤誠組の突入を拒否したというではないか。
腰抜けの将に赤誠組は頭を抱え、あろうことか東アルデナード商会に助けを求めてきたというわけでござる。自国の郎党による自国の事件で、他国の要人を危険に晒し、挙げ句その要人の国の責任で救出せよとは恥も外聞もないものよな。
とはいえ、東アルデナード商会も黙っているわけにはいかないのでござろう。
相わかった! ひとまず拙者に任せよ!
あのガレマール帝国が生んだ獣をも一刀に伏した我が剣術、賊共に味あわせてくれるわ!
破章
「御免!」
大声で赤誠組屯所の門をくぐる拙者であるが……どうにも反応が悪い。
怪訝な表情でこちらを覗く者も多く、果たして彼奴らはここクガネにて起こっている大事件を解決する気概があるのでござるか!?
「英雄殿!」
と、何やら泡を食った様子で拙者に声をかける者が。
ここでは目立つから、と地下水道に向かうと……
「英雄様に失礼をしてしまい、大変申し訳ない。私は赤誠組にて本件を秘密裏に担当しているのだ。」
彼に聞けば、どうやら赤誠組の中でも精鋭が極少数で動いているらしく、故に屯所で声を張り上げても分かる者がいなかった訳でござる。
東アルデナード商会の手代に話を聞いたときには、赤誠組は全く責を果たしていないような言い方でござったが……そんなこと無いではござらぬか。
さて。
“至極優秀な赤誠組”の隊士達が調査したところによれば、クガネ城を占拠した者共の親玉は、カゲヤマという豪商。その動機は、自身の商いが交易によって脅かされることを嫌ってのことなのだとか……。
なんとも肝の小さいことよ。拙者が過去に携わった者の中には、商いのためならばと自国の女王を謀り、軍の最高責任者の片腕すら落としてみせた者もいたのでござるが。
「カゲヤマや、彼の子飼いだけなら問題はないのだが……」
豪商カゲヤマは、今回なにやら手練の「用心棒」を雇ったのだという。その用心棒は要求する金額が法外なれば、その実力もまた法外なものなのだそうでござる。
何やら腹が立つでござるな。拙者も腕には覚えがあれど、鼻にかけた銭を要求してはござらん。我が刀は困っている者の為にふるうのでござる。食わねど高楊枝。それこそ武士の本懐でござる!
否! 商売上手の用心棒が憎々しいでござる!
こうしてはおれん。一刻も早く討ち入り、ウルダハの要人の親族とやらを救出するでごさる。成功の暁には、いつもより少々多めの銭を積んでもらおう。なにせあのがめつい商人たちの街の要人でござるから、きっと金持ちであろう。
クガネ城へは、赤誠組の者が確保してくれた地下水道からの進入路から参ろう。人質の救出は彼等に任せ、拙者はカゲヤマと用心棒を討ち取るのでござる。
いざ、討ち入りでござる!
悪党成敗 クガネ城
地下水路を通り、拙者は井戸からクガネ城内へと侵入することに成功。
攘夷派(じょうい:外敵を退けようとする者)の志士と忍者達が何やら手を組み、話をしておった。城が占拠されておるという情報、加えて首謀者が他国の排除を目的としているのは本当のようでござる。
しかし、いくら自分たちの意志を貫くためとはいえ、罪もない者に犠牲を強いる方法には感心せぬ。
やいやい、そこをのけ!
本丸はさすがクガネの城というべき豪華絢爛な趣で、東西を問わぬ美術品はどれも見事な様相でござった。
……これが討ち入りでなければもっと良かったのでござるが。
敵の用意した戦力の中には、身の丈がミッドランダーの幾倍はあろうかというからくり仕立ての忍者や、背中に大きな爆弾を背負い、いざとなれば自爆せんとするからくりに――果ては天狗までもが待ち受けておった!
腐っても豪商、カゲヤマは銭の力で手段を選ばず作戦を実行したのでござろう。
さて、戦いもいよいよ大詰め。
天守能楽堂にて待ち受けていたのは……
悪党の親玉、カゲヤマ。
そして腕利きの用心棒である「ヨウジンボウ」でござる。なんと、自身の役割“用心棒”をそのまま名乗るとは。いたく自信家でござるな。
しかしその名に恥じることなく、ヨウジンボウの腕前は本物でござった。多彩な攻撃に目にも止まらぬ抜刀術と、拙者も幾分か苦戦を強いられた。
加えて、金子に応じて威力を増すその剣術!
手付金だけでなく、実力を発揮するためにも銭を要求するとは……なかなかの守銭奴。戦いの最中だというのに銭がばらまかれ、景気のよい戦いとなった。
しかしヨウジンボウの要求額は破格であり……いくら豪商カゲヤマとはいえ、最後には破産寸前まで追い込まれたのでござる。
金子がなければ振るう刀もないと、ヨウジンボウは逃走。
戦いは拙者の勝利でござった。
カゲヤマの敗因は、出来高払いではなく都度支払いとしたところにあるでござろうな。銭に応じた実力しか発揮しないのであれば、銭をも超える正義の力の前に敗れるのは必然でござろう。
この世に悪が蔓延ることなどあってはならぬ。
悪党成敗!
これにて一件落着!
急章
カゲヤマは捕縛され、赤誠組の手により人質達も救出されたとのことでござる。
東アルデナード商会の手代もことのほか喜び、十分な恩賞を約束。これでしばらくはまた怠惰な生活ができるでござろう。
しかしながら、ヨウジンボウと名乗るかの剣豪は逃走したのだそうでござる。
彼奴の「金の切れ目が縁の切れ目」といわんばかりの、雇い主の安否を一切気に留めない一貫した態度には、ある意味敬服すべきかもしれぬ。
手代と話をしていると、そこへ人質であった女性がやってきた。
彼女の名はリリジュ。
なんと、あのロロリト殿の姪御であるというではないか!
商人として……そしてウルダハ砂蠍衆として辣腕を振るうロロリト殿とは違い、リリジュ殿の生業は紀行作家。旅をし、その様を本にしたためるのが仕事というわけでござるな。
ここクガネにも、仕事を兼ねた旅行で訪れたそうでござるが……まあ普通の旅行者であれば城にわざわざ招かれることもなかったであろうに――親族が要人であるが故、巻き込まれる事件も少なからずあるのでござろう。
……要人の親族だからこそ旅ができる、という言い方もできそうでござるな。まあ、いずれにしろ拙者のような怠惰な者には、自ら危険に首を突っ込む様は到底理解できぬ。理解できぬが……
彼女の目的は、他国の文化・風習を伝えること。
拙者もまた、この国の良き所に惹かれて棲家を設けたのでござるから、リリジュ殿のやろうとしていることを応援せずにはいられないのでござる。
身内からは護衛をつけるようにと言われている様子でござるが、女性の一人旅も安全に出来ると証明するのだと言って聞かないリリジュ殿の硝子のような瞳に、その思惑が大成することを願ってやまない拙者でござった。
まあ、手代の彼にとっては心労の絶えぬ日々が続きそうでござるな!
続章
さて。
事件も終わり、手代から報奨金も受け取った。まだ中身は見ていないでござるが、あのロロリト殿の姪御を助け、加えてクガネの危機も救った拙者なのだから、銭の額には期待できるでござろう!
どれどれ……
こっ、これだけ……。
ひらり袋から舞い落ちる一枚の「清算書」。
家を買った時の借金相当額が差っ引かれ、残った銭はたったの3,997ギル……。
命を懸けて戦ってこの仕打ちとはどういうことでござるか!
ぬううう、東アルデナード商会なんぞに銭の無心をすべきではなかった!
とはいえ、借金がチャラになったことをまずは喜ぶべきでござろうか……明日も労働せねばなるまい事実に深いため息をつきながら、家路を急ぐ拙者であった。
……やはり、ヨウジンボウのように先払いとしてもらうべきであったでござろうか?
彼奴とはまたどこかで会いそうな気がするでござる。その際には、腕を銭に変える良い手を聞かねばなるまいな……。