「影の国ダン・スカー」 Part.2
宿願と悲願
上位の存在であったスカアハを取り込み、強大な力を得たディアボロス・ホローでしたが……主人公によって遂に倒れます。
しかし、あたりの重苦しい妖気は未だ消えていません。
そこへラドリア達も到着。
油断した彼女が、不用意に「要」を拾おうとした時……
機を伺っていたディアボロスが急襲。
「要」は奪われ……
主人公やケット・シーも攻撃を受けてしまいます。
かなり消耗しているとはいえ、未だ力を残すディアボロス。そのまま次元の狭間へ逃げ、力を再び蓄えようとします。
どうしようもないのか……
その時でした。
レオファードが愛機「レミーユ号」を駆り、現れたのです。
彼はレミーユ号をディアボロスにぶつけ、自らは飛び降りて銃撃。
しかし敵も魔力を解放。
空中でバランスを失い、レオファードは地面にたたきつけられてしまうのですが――彼の行動は無駄ではありませんでした。
攻撃により、ディアボロスは「要」を落としたのです。
主人公はこれを拾い、ケット・シーへと繋ぎます。
ケット・シーもまた最後の力を振り絞り、「要」を開放。
ディアボロスの1500年の宿願はここに潰え……
ケット・シーとその主人、クェーサルの1500年の悲願がここに実ったのです。
要らぬ節介
全員が満身創痍で、レオファードの愛機レミーユ号は大破。
多くの犠牲を出しながらも……妖異との戦いは終わりました。
……ふん……俺を大人しく留守番させようなんて、要らんお節介なん、だよ……。
しかし、ネコじじいめ、大口叩いたくせに気絶しちまうとは。
主の無念を晴らして世界を守るっつう、その意志……。今、果たさずに、いつ果たすってんだか……。
ま、主から託された願いは、見事果たしてみせたんだ。多少は、認めてやるとするかね……。
ケット・シー:
…………作戦は成功したが、結局は、レオファードに頼ることになってしまった。主人公殿と此奴がおらねば、私は……。
ラドリア:
また、レオファードに助けられるとはねぇ……。だいぶ満身創痍のようだが、元気になってもらわないと困るよ。
……でなきゃ今後、素直に敵対できやしない。
スタシア:
……大丈夫、命に別状はないわ。こんな無謀なことして、もし死んじゃってたら……。もう、本当に無茶ばかりして……馬鹿……。
レオファード:
……心配も説教も無用だ。お前も、本気で俺を止められるなんざ思ってなかったろう?
たとえ無茶だろうが、俺は俺の思うよう自由にやるんだよ。
それに、どうだ。妖異どもを消滅させ、味方には死人もなし。今回の作戦は、見事に大成功じゃねえか。
………ただ、仕方なかったとはいえ、レミーユ号……あいつには、悪いことをしたな……。あの浮島を、俺の愛機の墓場にさせちまった。
ウタタ:
レミーユ号は、浮島で壊れちまったんだってね。……今まで、ずっとレオファードの強引な操舵に耐えてきて、最後まで乗り手の命を守ったんだから、立派だったよ……。
「ひとつの冒険の終わり」
ライバルとして
妖異達との戦いは終わり、空の……そして世界の平和は守られました。
敵対しながらも、最後には全面的な協力をしてくれたラドリア。望むなら今後も協力関係を続けても構わないといいますが……レオファードは断ります。次に会う時もまた敵同士。そう、いつも通りに。
憎まれ口をたたきあう二人の関係は変わらないようで――しかし、どこか親密な様子でもありました。
ラドリアは大鷲連合と共に、自分達の空へと帰っていきました。
レミーユ
大魔道士クェーサルの使い魔として、そして魔抗船の守り手として、自負と責をもっていたケット・シー。結果として一人では何もできず、そればかりか多くの者を巻き込んでしまったと自責の念にかられていました。
特にレオファードのことを気にかけており……彼の愛機が自分のせいで失われてしまったことを懸念。
スタシアは、レオファードの愛機「レミーユ号」の名の由来を語り始めます。
…………もう、ずいぶん昔の話。孤児だったレオファードは、運良く貴族の未亡人に拾われて、養子として育てられることになったの……。
物静かな優しい女性だったそうよ……。ただ、病弱でほとんど外を出歩くことができず、代わりに、沢山の異国の本を彼に読み聞かせていたらしいわ。
そんな優しい義母を、レオファードも懸命に看病した……。でも、残念ながら病を治すことはできず、亡くなってしまったの。
生前の彼女は、レオファードに決して多くを望まなかった。でもね、亡くなる寸前にひとつの願いを託したそうよ。
「どうか、自分の望むように自由に生きてほしい」って……。
レオファードの大切な人……彼女の名前は、「レミーユ」……。この肖像画の女性よ……。
空賊の道は、レオファード自身が己の意思で決めた生き方よ。
……でも、飛空艇に「レミーユ」という名前をつけたのは、彼女にこの空を見せたかったからだって、私は思ってる。
仲間の証
自由を愛する男の、決して軽くない過去を知った主人公とケット・シー。
しかし、不幸自慢を嫌うレオファードは他言無用を強調します。
そういうと彼は、ケット・シーの首に真っ赤なスカーフを巻きました。
俺たち「レッドビル」では、新しくメンバーになった奴に、そのスカーフを贈ることにしている……。
……ま、いわば「仲間」の証だ。
……俺がレミーユに教わったのは、思い出を守ることじゃねえ。自分がこうと決めた道を貫き通す意志を持つことだ。
主への忠義の心を貫き通した、お前のようにな……。
確かに、あの飛空艇は、俺の想いをこめた愛機だった。……だが、おなじ想いを共有できる「仲間」のために失ったなら、決して、惜しくはねえさ。
ついでに言えば、「仲間」から謝罪の言葉を受け取るなんざ、組織として、これほどダセえことはねえ……。
……だから、お前は謝るんじゃねえぞ?
スタシア:
レオファードには、予備機を使ってもらうわ。彼が、次の愛機を見つける気になれるまでね……。
ウタタ:
ねえねえ! ケット・シーが、「レッドビル」のスカーフをつけてるよ!?
もしかして、正式に仲間になったの!? わーーいっ!!ケット・シー:
1500年、主を失い、暗闇の中で生きてきた私が、こうして、新たな居場所を手に入れる日が来ようとは。
不思議な気分であるよ……胸が、妙に暖かいのだ……。
ひとつの冒険の終わり
これで、ひとつのヤマが終わった。お前と未知の冒険に挑むのも、もう終わりだ……。
……なんて、安心してんじゃねえぞ?
とっておきの冒険を見つけたら、何処にいようと連れだすぜ。俺の命を預けられる実力の持ち主で……お前ほど面白い奴は、そういないからな!
もちろん、そのときは報酬をたんと弾むさ。極上の冒険と、そして危険という「報酬」を……!
首元には仲間の証、赤いスカーフをはためかせ。
ひとつの冒険は終わり――もう一人の仲間、主人公もまた、新たな冒険へと旅立つのでした。