2023/03/18 メインクエスト5.0-漆黒【05.アリゼーを探して】を更新しました。

【FF14・雑記】暁月のフィナーレネタバレ有感想 ~エオルゼアの中心で愛を叫んだケモノ~

拡がる終末

ゼノス

現代に戻ると、更に各地で終末が拡大。絶望が大地を覆い始めていました。

一方。

現実に納得するための理由を、他者になど求めて何になる。
そんなもの、たとえ地の果て、天の果てまで問い求めようが、返ってくるのは誰ぞの都合よ。
おのが生に横臥することごとく、意味を答えを出すのは己自身だ。

最も生命を蹂躙してきたゼノスが、最も生命に意味を見出していた……というなんとも皮肉な話。この答えに惹かれたからこそ、ヘルメスの魂たるファダニエルは、ゼノスと行動を共にしていたのかもしれない、とすら思います。

まあ

一蹴されるんですけど。

この時のゼノス、少し、ほんの少しだけ苦い表情をします。

今まで自分のことしか考えていなかった彼に、初めて言葉が届いた瞬間だったのではないでしょうか。

父の願い

シャーレアンが紡いできた作戦の全容が明らかになります。

つまり、レポリット達の言う「地上の協力者」とは彼らのことを指し、終末を逃れるための使命とは、月への退避のことでした。

レポリットやハイデリンとの対話を通じ、不可避の終末のことを知っていたシャーレアンの議員達。来る日に向け、連綿とその使命に身を捧げてきたわけです。

そして

フルシュノの真意も、そこにありました。終末を知った彼は、愛故に、すれ違おうとも使命に邁進し続けました。
話し合おうよ! とも思ったんですが、彼らは秘密を守る為、自分達に魔法をかけてまで口を閉ざし続けていたんですよね……。そもそも物理的に話ができない日々だったわけで。

これは自分の経験でもあるのですが、子である自分から見た父と、周りの人から見た父の印象って全く違ったりします。子供って自分の親のことだから一番よく知っている気になるけれど、全然そんなことはない。

フルシュノは不器用だったけれど、周りからすれば本当に子煩悩で使命にひたむきな良い父だのでしょう。互いに想いを吐露したルヴェユール家のシーン、本当によかったな。

私はこういう家族の物語で涙腺がデロデロに緩む。

他にも、ムーンブリダの両親とウリエンジェが再会する場面。ここも私は号泣しました。

不思議とウリエンジェ側ではなく、ムーンブリダの両親のほうに感情移入しながら進めていましたね。

あんなに人とのかかわりが苦手だったウリエンジェが……こんなに成長して……。
娘を失った悲しみを押し隠したまま、ウリエンジェの成長に涙するふたりの心を想えば、涙が止まりません。

正直一番泣いたのはこの辺でした。
ここから先は強い意志を持ってエンドウォーカーしていたので、泣くことはなかったな。

完璧

地上に降り立ったレポリット達とともに、食文化の多様性を知るイベントが途中挟まります。その中で、彼らは仮説「知的生命の躍進と星の滅亡」について語りました。

いわく、知的生命は文明的に成熟すると、絶望を排して「完全な幸福」を求めるようになってくる……。
だがそれこそが、ほとんどの文明と生命が超えることのできない、大いなる障壁なんだ。
「完全な幸福」は、たとえるならパーフェクトキャロットさ。すべての栄養を満たし、すべての好みを網羅し、誰もが最高だと褒めたたえる架空のニンジン……そこに近づくことを、知的生命は進化だと認識する。そのために得たり、奪ったり、捨て去ったりするけど……架空のニンジンは手に入ることなく、やがて彼らは滅びるんだ。

完璧というのは、甘美な言葉です。辛い思いをした時、苦しみに喘ぐ時、人はそれらのない世界を望みます。
私だってそう思う。皆が幸せで、皆が平和な世界があればいいと。でも、そんな完璧は存在しないんです。

不完全であることにひたむきになれること。それこそが、絶望に立ち向かう唯一の方法。
現実は、残酷なものです。

【FF14 雑記・考察】何故ガレマール帝国の言うことは正しく、魅力的に見えるのか。“悪の組織”の主張が蠱惑的な理由。

昔、ガレマール帝国の理想主義と、その問題点について書きました。結局国も同じで、理想を求めて現実を蹂躙し続けた結果、ガレマール帝国は滅びてしまいました。

そう考えると、あの国は辿るべき道を辿ってしまったのだ、と言えるかもしれません。

アイティオン

ハイデリンの待つ星海へと至る道は、死者と再会する道でもありました。
主人公とともに歩んでくれたムーンブリダ、オルシュファン、そしてミンフィリア。

彼らの助けを得て辿る道ですが、強い恨みを抱いて死んだ者達が立ちはだかります。

イルベルド、リウィア、リットアティン、そしてアモン。

ハイデリンのもとへ至る旅は、過去との決別の旅路でもありました。

ファダニエルとの戦いは主人公の勝利に終わり、とどめを刺したのは――

アサヒでした。彼のゼノスへの愛が、ファダニエルを最後に討ったのです。

しかし、それは本当に愛故だったのか……果たして。

彼のことだから、きっと本当に愛……ゼノスへの偏愛故だったのでしょう。

ウルティマ・トゥーレ

方舟ラグナロク

諸々の末、シャーレアンの作った方舟ラグナロクの行先は、月ではなくメーティオンが待つウルティマ・トゥーレに定められます。そこに至るための燃料は、ハイデリンが自身のマザークリスタルを使うようにと提供してくれました。

皆の力を結集するこの展開、嫌いな人なんていないでしょう?

遂にウルティマ・トゥーレへ。

終末を止めたいという人々祈り。
ヴェーネスの祈り。
エメトセルク達の祈り。

全てを乗せて到着した宇宙の果ては

相応しく、命の果ての世界でもありました。

天の光は全て死んだ星

人知を超えた世界に触れた際の言い知れない不安を抱きながら、サンクレッドが作り出してくれた地を歩みました。
ここは、絶望を抱えて滅びた世界の再現。まさかミドガルズオルムやオメガの故郷に来れるとは。

私はSFにあまり明るくない(というか、あの分野には深淵が広がっているのでうかつなことはいえない)中で紡ぎますが、なんとなくSFは「肉体が邪魔である」と考える節がある気がしています。
宇宙は遙か大きく、肉体を持ったままでは果てに至れない。
故に身体を捨て、完全なる情報生命体となることで、より高次元な命に至るのだ――という物語が割と多い……ですよね?

その文脈でいえば、彼らイーア族は完璧な生命です……が、彼らですら絶望から逃れることは出来なかった。

むしろ完璧だからこそ、唯一の答えである滅びから逃れられないことを知り、そして「自分が」滅びを体験しなければならない事実が、絶望を呼んだのだろうなと思っています。

私たち人間は、命に限りがあります。
それは全てを知るには短く、しかし先の絶望から逃れるにはちょうど良いのです。

たとえば、太陽はこの先燃え尽きてしまうことが明らかです。が、50億年も先にそうなることを知ったところで、絶望してしまう人がどれほどいることでしょう。遠い話過ぎて、話が自分事になりません。
しかし、永遠の命を得たイーア族にとっては避け得ぬ危機なのです。どうしようもない滅びが待っているのであれば……と、絶望する気持ちは(低次元の生命体からおこがましい限りではありますが)理解できます。

いや、どうでしょう。彼らからすれば、理解も同意も不要なのかも。

メーティオンに花束を

ウルティマ・トゥーレの果てに待っていたのは、メーティオン。しかし本体のもとへはたどり着けません。終わりを望む者の願いで出来た世界。先にすすめる道理がありません。

それでも。

沢山の想いを背負ってここまでやってきた主人公。
主人公を歩ませるバフの名前は、エンドウォーカー。終わりの旅路は孤独で、重く。しかし。

確実な歩みであり。

主人公は、果てに二人の古代人達の魂……ヒュトロダエウスとエメトセルクを、デュナミスを使って召喚。彼らの力を用いて主人公が創造したのは……

エルピス。希望という名の花でした。

いつか、旅を終えたときに花を贈ろう。
そんなヘルメスの不器用な言葉は、主人公によって叶えられたのです。

希望は、メーティオン自身の魂を少しだけ呼び覚まし。

主人公は終わりを終わらせるため、最後の戦いへと挑みます。

その手助けをしてくれたエメトセルクたちは、「此処から先の未来は、私の愛した過去ではない」と、還っていきます。私の見たことない世界を沢山言って、「私は、見たぞ」とマウントをとって。

この時ムッとした主人公、本当によかった。そうだ、主人公は――私は、英雄である以前に冒険者なんだ。きっかけはささいなものだったけれど、この世界にわくわくして始めたひとりの旅人なんだ。

絶対に、遊び尽くしてやるからな! と思わされる最後。そして叶うならば……いつか、また彼らの魂と旅ができる日がくればいいな……。

暁月のフィナーレ

最終幻想レムナント

なんて思いながら興奮のまま申請した最終ID。
ファイナルファンタジー14における、4つ目のファイナルファンタジーです。

辛い……。最初の星の絶望があまりに辛い。

獣に転じる表現もそうだったけれど、私は「自分が自分じゃなくなる」表現がちょっと苦手みたいです。カフカの変身もメチャクチャ怖い。

ここはむしろ最後のエリアが一番気楽でした。緩やかな自殺を願う集団を見るのは、何も辛くない。

最後のボス、ラーラー。
すでにミーム化しつつありますね。

別にラーラーは願いを叶える存在じゃないですよ! 命を摘む者です!

終焉の戦い

メーティオンが変じた「終焉を謳うもの」は、圧倒的な力で暁をなぎ倒します。
それは今までのような優しい終焉ではなく、激しい生への嫉妬でした。

迫る危機に、主人公は仲間を逃し、ただ一人残ります。
誰かが絶望に沈もうと、誰かが手を引いてくれる。それこそが人の強さだというならば、主人公はもはや無力。

しかし。

まさかここで現れるのが、ゼノスとは。

決して助けず、そして主人公も助けを求めず。
それでも、後に仕合うために協力する。この距離感がとても良いですね。

そして終焉の戦いですが、私はメインタンク、初見未予習で挑ませて頂きました。あの時一緒に戦ってくれたヒカセンの皆さん、ありがとう。ネタバレもせず、お陰で凄く良い戦いができました。めったにないタンクLB、手をがたがたと震わせながら放たせていただきました。

途中、相手がデュナミスを操ってきた時……

この祈りの図、新生トレイラーと同じ図式なんですね。
加えて、最後の戦いで「祈りが力になる」のは、FF4のオマージュでもあったりします。

自我を取り戻したメーティオンは、主人公に触れて気が付きます。
「たったひとつの冴えたやりかた」なんて、生命には存在しなかったのだと。

完璧は、豊かとは程遠いものです。

例えば、パーフェクトニンジンのみが用意されている世界と、現代のように多様な食文化がある世界であれば、前者は完璧ではあるものの、後者は豊かな世界であると言えます。

どちらに惹かれるかを考えてみると……生命は、完璧であることは出来ないのでしょうね。少なくとも私は豊かでありたい。皆がそれぞれに歓びを探し、失い、また見つける……そんな生命でありたい。

死は救いではなく、しかし常に私達の隣に寄り添っています。その死が優しく微笑む時まで、命は歩み続ける。

なんだか、優しい答えでした。

ゼノス

暁月のフィナーレのラスボス、絶望の化身たるメーティオンはさりました。

しかし。

彼が残っています。先の戦いで手を貸してくれたのは、あくまで戦うため。

思い出せ……! 武器を手にし、技を会得したときの高揚を。
新たな脅威、いまだ踏破せぬ頂を目にしたときの欲を!

みなさんは、この選択肢どれを選びましたか。
私は一番上を選びましたが、きっと一番下を選んだ人も多かったのではないでしょうか。

ゼノス許せないですもん。わかる。

しかし前も書きましたが、私はゼノスという存在が、主人公の「人智を超えた力」に対抗するための力の化身だと考えています。

【FF14 雑記】「紅蓮のリベレーター」の主人公はあなたではない

英雄という肩書が消えたこの世界で、主人公の力に唯一対抗できる力が目の前に。
ならば、全力を出して戦う以外の選択肢がどこにありましょう。

私は一人の冒険者……いや。一人のゲームプレイヤーなのですから。

最後の戦いは、存分に楽しいものでした。
でも、ゼノス――君は、もう思い出だ。眠ったままでいてくれよ。

おわりに

暁月の旅路に沿って、長々と書きました。これでもすべてのネタを拾えていないし、書ききれていない自覚があります。

暁月の「フィナーレ」と銘打たれた6.0。ストーリーが一旦終わることは最初から明言されていたわけですが、まさしくフィナーレに相応しい出来だったと感じています。

新生を終え、蒼天を終え、紅蓮を終え、漆黒を終え、そして暁月を終えて、物語は一旦幕を下ろしました。

最後の敵は、絶望そのものが形をとったものでした。メーティオンではありません。その力は強大で、どう対抗するべきか……劇中で折れそうになったこともありました。それでも最後まで歩き、そして得られた答えは優しく……なんだか、地に足のついたものでした。

命は素晴らしいと手放しに賛美するものではなく、しかし命のことを想像すれば、ほんの少し胸が暖かくなるような、そんな答え。

綺麗事かもしれません。しかし、納得できる綺麗事だったので、私はこの答えが大好きです。

主人公は、最後に一人の冒険者に戻りました。

私もまた、これからもエオルゼアの世界を冒険し続けることでしょう。FF14は、私の人生に寄り添ってくれるゲームですから、これからも共に歩み続けたいと思っています。

それこそ、フィナーレが訪れるその日まで。

さて、酷く長文となってしまった本稿ですが、タイトルはもともとSFネタが多い暁月らしく、SFから引用したものです。

「世界の中心で愛を叫んだ獣」自体、多くのコンテンツにオマージュされているわけですが、その中でも有名なものを引用して、本記事を締めたいと思います。

開発陣に、ありがとう

ハイデリン・ゾディアーク編に、さようなら

そして、全ての光の戦士達(ヒカセン)に

おめでとう

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